東京都千代田区神田にあるDining & Music BAR 音STAGE(オンステージ)様にTurbosoundスピーカーとLab.Gruppenパワーアンプ他、音響機器一式を導入いただきました。

音STAGEは2022年5月にOPENしたユニークなダイニングバーです。なんと店内にバンド演奏が可能なスペースがあり、常備された楽器を使って気軽にセッション演奏を楽しむことができます。

音STAGE 店長の山田 様は、伝説のライブハウス『下北沢 屋根裏』の店長という経歴の持ち主です。ライブハウスで培った音に関する経験と、ダイニングバーという新たな挑戦が融合した音STAGEの納入事例をご紹介します。

 

導入機材

TBV123(メインスピーカー)

ステージ内からの様子。最左のスポット照明から続いて、NuQ62(アウトサイドスピーカー), NuQ102(サイドフィル), TBV123(メインスピーカー)

TFM122M(フロアステージモニター)

Turbosound
  • TBV123×2(メインスピーカー)
  • NuQ62×2(アウトサイドスピーカー)
  • NuQ102×2(サイドフィル)
  • NuQ115B×1(サブウーハー)
  • TFM122M×3(フロアステージモニター)
Lab.Gruppen
  • PD3000×2(パワーアンプ)
  • D 20:4L×1(Lake Processor搭載パワーアンプ)
MIDAS
  • M32 LIVE×1(デジタルコンソール)
KLARK TEKNIK
  • DN100 V2×1(DI)
  • DN200-V2×2(2ch DI)

(※MIDASとKLARK TEKNIKはベステックオーディオにて取り扱い)

音STAGEについて

今回のインタビューは音STAGE 店長の山田 様、副店長の柳澤 様、そして音響設計の(株)K.M.D Sound Design 小松 様の3名様にお話を伺いました。

左から 柳澤 様 , 山田 様 , 小松 様

本日はよろしくお願いします。まずはこの音STAGEとはどういうお店なのか教えてください。

山田 様:私は以前はライブハウスに勤めていました。ライブハウスには出演者がいて、動員を集客するためにバンドが一生懸命演奏していますよね。それとは違って、「楽器は昔やっていた」「今もやっているが若かった時ほどの熱意とは違う」という人がたくさんいらっしゃいます。そういう人たちがもう一度楽しめる場所にしたいという思いで音STAGEを始めました。

誰でも安心して楽しめるサービス設計
  • 夕方5時から営業
  • 神田という好立地
  • 楽器はセットアップ済み
  • 演奏者同士をお店がその場でマッチング

つまり仕事帰りに手ぶらで一人で行けるお店なのです。もちろん自慢の楽器を持ち込んでもOK

画期的なセッションのシステム
  1. 演奏したい曲と楽器パートを専用アプリでエントリー
  2. ディスプレイに曲目が表示され、スタッフがマイクアナウンスで演奏者を募ってくれる
  3. 演奏者同士がマッチングしたら演奏開始(出会いが生まれます)
  4. 演奏中はモニターに歌詞とコードが表示されるので、歌本は必要ありません
    ※リクエストが届いてからスタッフが電光石火の手際の良さで用意しています!
  5. 足りないパートはスタッフが演奏してくれるので安心(!)

音STAGEはスタッフのチームワークとスピード力でここまでをサービスとして提供しているお店なのです。

お客様は老若男女様々ですね。若い女性も多くて驚きました。

山田 様:はい。そのほかに外国人もいらっしゃいますよ。

迷わず選んだシステム

では、TurbosoundのスピーカーとLab.Gruppenのパワーアンプを中心としたシステムを選定された理由を教えてください

小松 様:僕はこれまでTurbosoundを導入したことがあったので、音が良いことは知っていました。それでもなぜこれを選んだかというと「お店の大きさにちょうど良かったから」です。見ていただいても分かるように、スピーカーが大きすぎたり小さすぎたりすることがないですよね。ちょうど良いサイズ感なんです。

それから、Turbosoundはたくさんの大きさ(製品ラインナップ)がありますよね。このお店はメインスピーカー、アウトサイド、サイドフィル、フロアモニターという丁寧なスピーカーの配置をしています。それぞれの箇所にちょうど良いサイズの製品が揃っていたんです。

あとは、ステージ上の半円形のバーにバトン吊りできることも条件でしたが、クリアできました。

Lab.Gruppenのアンプもこれまで導入例がありコストパフォーマンスが良いことを知っていました。迷わず選びました。

音の印象はいかがですか?

山田 様:第一印象はクリアな音だと感じましたね。

柳澤 様:私は、若々しい元気のある聴きやすい音と感じました。演奏がしやすいとお客様からも好評です。

充実したモニター

小松 様:音STAGEさんのような規模のお店でフロアモニタースピーカーがあるというのは珍しいと思います。ボーカルの足元とドラム横にフロアモニター。それに加えてサイドフィルもあります。これらモニタースピーカーを充実させることで歌がとても聴こえやすくなり、気持ちよく演奏をすることができます。

ステージ内から見上げた様子。サイドフィルNuQ102を演奏者に向けて設置。スピーカーとスポット照明はステージを囲む半円形のバーに設置。

モニタースピーカーは全て鳴っているのですか?

柳澤 様:はい。基本はバンドの音があって、モニタースピーカーはその音を補助するものですが、全部鳴っています。
歌&アコギ&キーボードという編成の曲では、音はPA頼りなところがあるので、かなり重宝しています。

MIDAS デジタルコンソールを選んだ理由

MIDAS M32 LIVE

デジタルコンソールはM32 LIVEが採用されていますが、当初卓アナログとデジタルのどちらにするかという話はありましたか?

山田 様 柳澤 様 小松 様:ありました

柳澤 様:お店がオープンした2022年5月末はまだコロナ禍が続くかもしれない可能性があり、しばらくはお客様で溢れかえる営業状態にならないだろうと思っていました。そこで配信ライブや箱の貸し出しといった営業スタイルにも対応できる柔軟さが必要だと考え、デジタル卓を採用しました。アナログ卓だと対応力という点で限界があると思います。

小松 様:そういうこともあってMIDASを提案しました。僕自身がMIDASのデジタルコンソールを使った経験がありましたし、予算の枠の中でベストコストパフォーマンスが出せる卓ということでMIDAS M32 LIVEにしました。

柳澤 様:私はデジタル卓を使うのは初めてだったのですが、アナログと違ってやれることが広がったのが遊園地みたく楽しくてしょうがないですね。日々勉強中ですが、まだまだやれることが多い卓だなと思っています。

通路脇にあるFOH。繁忙時にもスタッフが機材と接触しないよう絶妙な空間調整がされている

小松 様:当初、コンソール~アンプ間はデジタル伝送にすることも考えましたが、ステージにこれだけ楽器が置かれてあるので、さらにその横にアンプラックなどを置くのは避けたいということになったので、アナログ転送にしました。そのおかげでアンプラックをFOHに置けるようになったので、FOH内で電源をONにしたらすぐに使える、分かりやすいシステムになりました。

スタッフの皆さんが卓を操作することを考えると、分かりやすさというのは大事な要素の一つですね。
さて、ドラムに本格的なマイキングがされていることに驚きました

小松 様:ドラムのマイクはもちろんですが、オーディエンス(を録る)マイクもあるんですよ。

マイクはスネアの表裏と各タムそれぞれにも設置

ライブレコーディングができるのですか?

小松 様:できるんです。お店の営業中にレコーディングしてお客様にお渡しできるようなサービスが(将来的に)できたらいいですよね。

柳澤 様が「デジタル卓でやれることが広がった」とおっしゃっていたことに通じますね。

柳澤様:まさにその通りです。

入念な音漏れ対策

システムはとても気に入っていただいていますが、導入する際に難しかったことなどありますか?

小松 様:システムを鳴らすための音漏れ対策には気を使いました。このお店は地下にありますが、階上に飲食店があってその上にはオフィスが入っています。だから音漏れをさせないことが大きな課題になりました。

その課題をどう乗り越えたのですか?

小松 様:お店がスケルトン状態の時に、ビーテックさんにシステム一式を持ってきてもらって鳴らしたんですよ。それからさらに内装ができてからも持ってきてもらって鳴らしました。その都度音漏れしやすい周波数帯域を探してアプローチしていきました。

とても丁寧な調整をされたのですね。

山田 様:今のところ苦情が出たことは一度もありません。小松さんにお任せしてよかったです。

ステージ脇に設置されたサブウーハーNuQ115B

小松 様:床はしっかりしているので問題ありませんでしたが、壁と天井、調理場のダクトなどから80Hzや160Hzが漏れていました。それに合わせてサブウーハーをチューニングするなどして対策しています。かといってお客様にはちゃんとバスドラムの低音も楽しめるように調整しています。その他は、ドアは圧をかけて閉められるものにして音漏れを防いでいます。とにかく最初にスケルトンの状態でシステムを鳴らせたのが良かったです。

BGM/セッション会場/ライブハウス、それぞれの音量で営業ができるということですね。
音量による音質の差はありませんか?

柳澤 様:どんな音量でも良い音だと思います。

良い音はお客様へのサービス

小松 様:ほかに気を使ったことと言えば、天井の高さです。最初は一段高いステージを置こうかという話もあったのですが、お客様がお酒を飲んでらっしゃる場合があるので、ステージから落下しないようにということも考えて、床の色を変えてテーブル席とステージを分けることにしました。結果的に天井を高く設定することができました。

ステージの後ろはレンガの装飾でかっこいいですね。

小松 様:本物のレンガを積んでいるんですよ。ここにマルチボックスが埋まっています。表にボックスを置く案もあったのですが、それだとケーブルでお客さんがつまづく可能性があったので壁に埋め込みました。プラグやケーブルの折れる長さも計算して、ボックスは壁面の3cm奥にセットしています。

お客様へのホスピタリティも考えたこだわりが詰まっていますね。

小松 様:その通りです。それからお店の音(ルームアコースティック)について。今のところサウンドチューニングは80%完成しています。あと20%をどのように作っていくのかを営業しながら考えていきます。

これからさらに音がベストに近づいていくわけですね。

山田 様:その通りです。お酒を飲んでいる方もステージで演奏している方も全員がお客様です。より良い音をサービスとして提供していきたいです。

奥まった箇所にあるVIP席。リラックスして食事を楽しめる

豪華な無垢板のカウンターの下には荷物フックとACコンセントも常設

新しい音楽文化の発信地

最後に、これからの音STAGEの展望や夢を教えてください。

山田 様:音楽を聴くことが好きな方、昔のように演奏をしたい方、そしてこれから楽器を始めたい初心者の方にも来ていただきたいです。この初心者というのは若者や学生さんに限りません。大人になってから楽器を初めた方にも来ていただきたいです。そういう方たちが繋がって音楽を楽しむ文化を発信できるお店にしたいと思っています。

本日はたくさんのお話をありがとうございました。

演奏を楽しむのも聴くのも自由。老若男女が世代を超えて音楽で繋がり広がり笑顔が広がっていく。そんな新しい音楽の楽しみ方を神田から発信している音STAGE。この楽しみ方が大きなムーブメントになった時、それは山田様の言葉にあった「文化」と呼べるものになるのだと思います。

実際に営業中の店舗でライブを聴かせていただきましたが、本当にたくさんの人と気軽に会話ができる良いムードにあふれたお店でした。ぜひみなさんも一度足を運んでみて下さい。

Dining & Music BAR 音STAGE
〒101-0047 東京都千代田区内神田3丁目24−3 Vort 内神田 B1
営業時間 17:00-23:30(変更する場合があります。店舗にお問い合わせください)
TEL 03-3527-1909
https://www.onstage-kanda.com/
(株)K.M.D Sound Design
〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2丁目55番12-607号
https://www.kmd-sd2021.com/

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