株式会社SoundLab MIにRTW TouchControl 5が導入されました。進化するゲーム音楽制作を効率化するモニターコントローラー
家庭用ゲーム機の音は進化を遂げ、PS5ではDolby Atmosが標準搭載されるまでになっていることはご存じのとおりです。そのようなゲームのサウンドの制作に特化した株式会社SoundLab MI にRTW TouchControl 5(メータリング機能付きのモニターコントローラー)が採用されました。
株式会社SoundLab MIの代表であり、自らもプロデューサーやクリエーターとして活躍する本山 明燮(もとやまあきひ)氏に導入のきっかけを伺う中で、ゲーム音楽の制作にまつわる貴重なお話もいただきました。
ゲーム音楽の制作ワークフロー
株式会社SoundLab MIは、SONY PS5のソフトやSteamで販売されている家庭用ゲームの音響制作に特化したスタジオで、クライアントは主にゲームソフトのデベロッパーです。
楽曲制作のほかには、効果音やダイアログの収録を行ったり、ゲームにまつわる音楽/音響の制作を幅広く担っています。
ゲーム音楽制作にはミドルウェアと呼ばれるツールがあります。作った音楽をそれに取り込んで、ゲームの動きに合わせて音が鳴るように設定します。それをプログラマーさんに渡して、ゲームに組み込んでもらった後に、実際にプレイして音がちゃんと鳴っているか確認して…、この作業を何回か繰り返して、ようやく一つのシーンが完成します。
Wwise
インタラクティブオーディオのための代表格であるミドルウェア Audiokinetic社のWwiseの紹介動画。ミキサー、エフェクターといった基本的な機能に加えて、ゲームならではのインタラクティブな音作りを実現する様々な機能を備えている。
ADX2
Wwiseと双璧を成すCRI Middleware社(日本)ADX2の紹介動画。オーサリングソフトのAtomCraftはDAWに近いGUIで使いやすくできている。
ミドルウェアを使い、足音が地面の材質によって変化するような表現や、敵キャラが近づいてくるのに合わせて音量や定位が変わるような、臨場感あふれるサウンドを作り込んでいく。
はい。ゲームは時間軸で推移するため、自分でプレイしながら全体の流れでチェックしています。プレイヤーの感覚と、画(え)と音が合うことが重要です。
音楽(BGMやテーマ曲)は100曲以上、効果音は千個を超えることも珍しくありませんし、ダイアログは常に数万ファイルになります。これまでは1年に1本のペースでゲームが完成していましたが、近年はゲームの大型化に伴い、3~4年に1本というペースになっています。長期間に及ぶ制作になりますね。
音は演出の長さやVFXが決まらないと作り込めません。デベロッパーはゲームをより面白くするために、常に工夫を凝らしているので、結果的に納期が短くなってしまう依頼も多いです。
RTW TouchControl 5による効率化
はい。音の確認をするために、各チャンネルのミュートとソロを繰り返しますが、TouchControl 5は簡単で素早く操作できるので、非常に重宝しています。
例えば、ダイアログ(セリフ)の場合、センターに定位させるだけでなくいくらか左右に音をこぼしますが、TouchControl 5でセンターをミュートすることで確認できます。また、フロント側をミュートして環境音をチェックしたり、逆に環境音をミュートして、その他の音で音が成立しているかを確認したりと、様々な場面で活用しています。
作業前にはいつも本体マイクによるSPL測定を行っています。ゲーム機からホワイトノイズ(波形)を出力し、それを基準値として作業を開始します。手軽に測定できるので助かっています。もちろん、メーターも活用しています。
映画に迫るゲーム音楽
私は常日頃から、ゲームの音響を映画に近づけたいと思っておりまして、ゲームの音を作る時は「映画館で流したら観客はどんな反応をするか」などと考えながら作品を作っています。
ゲームは開発中にクオリティアップ等の要因で常に変化して行くため、最終的なクオリティはある程度のポイントで妥協せざるを得ない場合もありますが、できる限りハイクオリティな音響で楽しんでもらえる作品作りを追求していきたいです。会社としては、将来的に7.1のスタジオも7.1.4にしたいと思っています。その将来性も考慮し、TouchControl 5を導入しました。
株式会社SoundLab MI
https://www.soundlab-mi.com/