2023年 東京は新宿の歌舞伎町一丁目に開業した東急歌舞伎町タワーは、国内最大級のホテル × エンタメ施設複合タワーです。
ラグジュアリーなホテルから映画館、劇場、レストランにライブハウス、そしてアミューズメント等々。歌舞伎町タワーはこの街の新しい楽しみ方を提案し、インバウンドにも人気のスポットとなっています。

この歌舞伎町タワーの17階にある、音と光のムードでカクテルを楽しめるバー『JAM17 BAR』の「TERRACE(屋外テラス)」と「SPACE WEST(屋内多目的ルーム)」にそれぞれ設置されたLEDビジョンの音響として、TANNOY QFLEXを中心とするスピーカーシステムが採用されました。(LEDビジョンの設計/施工はアビックス株式会社様)

00:13から。アビックス株式会社様の納入事例動画より

DSP制御によりカバレッジをコントロールし、狙った箇所だけに最適な音響を届けるビームステアリングスピーカーのQFLEX。同じスピーカーでも屋外と屋内ではアプローチの仕方が変わります。音響機器の選定から施工/調整までを行った日本レディフュージョン株式会社の武内 氏に詳しくお話をうかがいました。

TERRACE(テラス)

赤□で囲んだ部分にQFLEX 24が収まっている

納入機材:
TANNOY QFLEX 24(ビームステアリング・パワード・コラムアレイ・スピーカー。24基ドライバー, DSP, PowerAmp搭載。)× 2
KLARKTEKNIK DM8500(ネットワークオーディオプロセッサ)× 1
KLARKTEKNIK DM TCE-UL(タッチスクリーン・ウォールコントローラー)× 1

巨大ビジョンを備えた解放感溢れるルーフトップテラス。バーカウンターも常備され、パーティーやイベント会場としても使用可能です。細長く奥行が25mほどあり、面積は318m2
このLEDビジョンの両脇にQFLEX 24が収まっています。音量コントロールとソース切り替えのためのプロセッサDM8500は屋内の機器ラックに。そしてコントロールパネルのDM TCE-ULは袖の屋外ボックスにあり、この2か所から操作が可能です。
武内様、この度はTANNOY製品の導入をありがとうございました。まずはQFLEXを選んだ理由を教えてください。

日本レディフュージョン 武内 氏(以下略「武内 氏」):このTERRACEは細長く奥行があり、音の狙いはLEDビジョン直下の3mあたりから25m先までという要望がありました。そういうことであればビームステアリングが最適ですし、QFLEXはほぼ真下にまで音を飛ばすことができます。もしほかのコラムスピーカーで同じことをしようとしたならば、遠くを狙うものと近くを狙うものの2種類を用意しないといけないでしょうね。

それから、私は以前から別案件で何度かTANNOY VLSシリーズを使った経験があったので、一度はQFLEXも使ってみたいと思っていました。

QFLEXはクラス最高峰の垂直方向±70°のビームステアリングが可能です。

一度は使ってみたかったQFLEXなのですね。選定のために試聴デモも行われましたが、その時の様子を教えてください。

武内 氏:デモはTERRACEを作っている最中に行いました。まだ床も貼られていなくてLEDビジョンも付いていない状態でしたが、スピーカーをスタンドに立ててこの場で試聴を行いました。
ビルの施主様を始めとする関係者も同席されていて、ビームステアリングを使って音がコントロールできるという体験をしていただけたのもよかったです。

始めてQFLEXを聴いたときの感想はいかがでしたか?

武内 氏:私の指示した通りに音圧が変えられて、こんなに音(のカバレッジ)をコントロールできるのかと、QFLEXのビーム性能に驚きました。
音圧を測った時はエンタメ用途のフルレンジの音では厳しいと思いましたが、中域やスピーチは遠くまでとてもはっきり聴こえたため、Qflexでいけると確信しました。

昨今の屋外テラスイベントの人気の高まりから、このTERRACEでも様々なイベントを行うことが想定されています。フルレンジで音を鳴らす際は持ち込みPAができるように、DM8500とは別回線で、音響パネルにラインアウトの口が設けられているということです。

武内 氏:ここでQflexを導入することを決めて、その後LEDディスプレイとQFLEXが収まった段階でもう一度 施主様と一緒に音を鳴らしたのですが、狙った通りのビーム性でしたね。この時は映画のPVを使って映像と音を確認しました。

ここまでのお話ではDM8500が出てきませんが、どういう理由で選定されたのでしょうか?

武内 氏:最初はQflexだけを導入する予定でしたが、店舗のスタッフ様が音量をコントロールできるようにという要望が出たため、DM8500を導入しました。音量コントロールとソースの切り替えをできるようにしています。

SPACE WEST(多目的ホール)

多目的に使える「SPACE WEST」。TERRACE同様LEDビジョンの両脇にQFLEXが収まっている。

納入機材:
TANNOY QFLEX 16(ビームステアリング・パワード・コラムアレイ・スピーカー。24基ドライバー, DSP, PowerAmp搭載。)× 2
KLARKTEKNIK DM8500(ネットワークオーディオプロセッサ)× 1
KLARKTEKNIK DM TCE-UL(タッチスクリーン・ウォールコントローラー)× 1

パーティーなどで使用できる多目的ルーム。231m2。写真左側の大きなガラス窓を開放するとその外につながるテラス100m2と一体となり半オープンエアーのスペースとして使用することができます。(このテラスはここまでご紹介したTERRACEとは別のものです。)
天井に見える白色LEDの格子はフレームだけで実際は吹き抜けており、さらにこの上に天井が存在し、高い天井で解放感を感じるスペースとなっています。
先ほどと違いこちらは屋内ですね。機材選定のアプローチの違いについて教えて下さい。

武内 氏:これまでお話ししてきたTERRACEは完全にオープンエアーで音が外に逃げてくれるためスピーカー位置からの反響はほとんどありません。さらに17階なので騒音問題もないため考え方はシンプルでした。
しかし室内にあるこのSPACE WESTは天井がとても高く反響や残響が大きいのです。さらに正面写真の左壁面は高いところから床まで大きなガラス張りで吸音ができません。
この場所は吸音材だけでなんとかなるところではないと判断し、ビームステアリングによって音を下にだけ向けるという使い方をしています。

狙った箇所だけに音を届けてそれ以外には拡散させない。理想的なビームステアリングの使い方をしてくださっているのですね

武内 氏:ビームステアリングをすごく絞り込んで、ある程度制御した音量で流すことでうまくいきました。例えばこれが一般的な12インチの2wayフルレンジスピーカーだったならば、スピーカーから離れた人に聞かせるために音圧を上げることになり、結果的に音が散らばって響きが大きくなってしまいます。

ここにもDM8500とコントローラーが設置されているということですね

機材室のDM8500(上)。下は中音を確認するためのラック用モニタースピーカー。(施工時)

武内 氏:同じ店舗であれば同じスタッフさんが使用するだろうということで、操作性を合わせるためにSPACE WESTにもDM8500とDM TCE-ULを入れています。ここはボリュームコントロールだけの操作に限定しています。

武内様、この度は貴重なお話をありがとうございました。
屋内外の異なる様々な条件をクリアするために、日本レディフュージョン株式会社 武内様はQFLEXとDM8500を選びました。意匠性を追求した空間の音響的課題を乗り越えていくTANNOYのビームステアリングスピーカーQFLEXの活躍が今後も期待できます。

Dining & Bar JAM17
〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-29-1 東急歌舞伎町タワー 17F
https://www.hotelgroove.jp/jam17/
※HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotelが運営

アビックス株式会社
〒231-0007 神奈川県横浜市中区弁天通6-85 宇徳ビルディング4F
https://avix.co.jp/

日本レディフュージョン株式会社
〒111-0052 東京都台東区柳橋1-5-5 REXビル8F
https://www.nrlmusic.co.jp/

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