カナダ/サイモン・フレーザー大学、Renkus-Heinz 『イマーシブ・コミュニケーション』の可能性を探る
カナダ/ブリティッシュコロンビア州バーナビー | 2024年10月10日
サイモン・フレーザー大学(SFU)は、カナダでトップの研究機関として有名であり、イマーシブ・コミュニケーションと空間音響処理技術に先駆的な一歩を踏み出しました。SFUは128台のRenkus-Heinz Cシリーズスピーカーを備えた最先端のイマーシブ音響研究所を設立し、研究を続けています。
ブリティッシュコロンビア州の3大都市、バーナビー、サリー、バンクーバーにまたがるSFUは、人類学から海洋科学まで、多様な学問に精通しています。 SFUは、社会のためにテクノロジーを活用することを推進しており、一般的にはイマーシブ・コミュニケーションと呼ばれているサラウンド・サウンドビジュアル、空間音響を含む3Dマルチメディア・アプリケーション焦点を当てた新しい研究所を設立しました。
同校のRodney Vaughan教授がプロジェクトを主導し、Renkus-HeinzやTiMax他、音響技術メーカーと提携して、彼のビジョンを実現しました。カナダのRenkus-Heinz販売代理店であるContact Distributionも、このプロジェクトで重要な役割を果たし、マイクを除くすべての技術を提供しました。
TiMaxのシニアエンジニアであるTim Bartoo氏は振り返ります。
「Rodneyは10年以上前に、音響研究の限界を押し広げることができるような音響研究所の大胆なアイデアを持って私のところに来ました。彼は、『例えば、騒がしい街通りに田舎のような静かに感じる寝室を持てるような空間を作りたい。』」と話しておりました。
プロジェクトは資金を確保するのに数年かかりましたが、最終的に助成金が下り、Rodney Vaughan教授とTim Bartoo氏は計画を実行するためチームを結成しました。「Rodneyはレーダーと高度なアンテナ設計の専門知識で知られています。媒体は異なりますが、音響の仕組みは以前の研究で使用されたものと同様に機能すると確信していました」とTim Bartoo氏は述べています。
この研究所は、優れた空間機能と柔軟性がある2つのTiMax空間プロセッサーを中心に構成されており、複雑な音場のシミュレーションやノイズキャンセリングの概念のテストなど、研究所で計画されるさまざまな実験に不可欠です。128台のRenkus-Heinz CX41スピーカーに加えて、128台のAdvanced Audioマイクが設置され、すべてDanteネットワークを介した通信が可能です。
音響コンサルタントであるFred Gilpin氏は、研究所のセットアップをサポートするためプロジェクトに参加しました。「Fredはスピーカーの設置を担当しました。」とTim Bartoo氏は説明します。
「その部屋には約5マイルのカスタムケーブルがあります。彼のこだわりは、正確なサウンドを確保するために、すべてのマイクとスピーカーを正確に配置する必要があったため、スピーカーの位置は非常に重要なファクターです。」
Renkus-Heinz CX41(4インチ同軸2WAYスピーカー)は、コンパクトなサイズと優れた音響性能を備えているため、研究所にとって理想的な選択肢でした。拡張レンジのソフトドームツイーターを搭載したこれらのスピーカーは、20kHzを超える広い周波数特性とスムーズで明瞭なサウンドを提供します。
「以前にもRenkus-Heinz社と仕事をしたことがあり、このプロジェクトにはCX41が最適だと思っていました」とFred Gilpin氏は言います。「テストした音の多くが軸から外れているため、位相応答が非常に重要でした。CX41のクリアでナチュラルな音は、非常にフィット感がありました。」
研究所の完成が近づくと、チームは早くスペースを使えるようにしたいと切望していました。「私たちが取り組んでいる最も重要なプロジェクトの1つは“サウンドキャンセルルーム”を作ることです。」とRodney Vaughan教授は説明します。「部屋の隅で2人が会話をしているところを想像してみてください。音響分離のおかげで、その空間の外にいる人は誰もそれを聞くことができません。あるいは、騒がしい環境でも何も聞こえない空間。このようなイノベーションは、これまでにないものでした。」
「また、研究所のもう一つの目的として、特に音の反射の激しい環境における室内音響の改善をすることです。研究者は高度なモデリングと音場制御を使用して、部屋の音響を分析し、過度の残響を補正します。空間の明瞭度と音質を向上させるシステムを開発したいと考えています。」
これらの研究プロジェクト以外にも、Tim Bartoo氏はTiMaxの新しいリバーブサブシステムを研究所でテストすることを特に楽しみにしています。
「部屋のさまざまな部分に局所的なリバーブを作り出すことができる4つのリバーブエンジンを組み込んでいます。」と彼は言います。「研究所の構成により、洞窟のような大聖堂から、狭くデッドな音響空間まであらゆる空間をシミュレートできます。これらの残響パターンが、このような音響環境をどれだけうまく再現するのか、とても興味深いことです。」
この研究所は、すでに学術界や研究界から大きな関心を集めており、数多くのプロジェクトが提案されています。 「最近、初めての128チャンネルレコーディングを終えました」とTim Bartoo氏は語ります。「録音中に部屋の中を歩き回り、話したり、手を叩いたりしました。録音を再生すると、音がどこから来ているのかを正確に特定できるのです。目を閉じても部屋のどこに誰がいるのかを音だけでイメージでき、とても素晴らしいです。」
SFUでのイマーシブ・コミュニケーション研究の可能性は計り知れません。この研究所は、音場の理解と操作に重点を置き、Renkus-Heinzの業界をリードする技術の助けを借りて、音響技術の成長と社会に大きく貢献する態勢を整えています。
本記事はRenkus-Heinz Case Studiesから転載しています。
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