カリフォルニア州フットヒル・ランチ|2024年5月13日

ミシェル・オバマ氏の出身校でもあるニュージャージー州のアイビーリーグ、プリンストン大学は、米国でもトップクラスの学校のひとつです。
プリンストン大学チャペルは、14世紀の英国ゴシック大聖堂の建築様式を取り入れたエレガントな礼拝堂です。以前の礼拝所が火災で焼失した後、1928年に建設された十字型の礼拝堂は、200万ドル以上の建設費を要し、米国最大の大学礼拝堂となりました。長年にわたり、この礼拝堂は信徒の集会やイベント開催に利用され、あらゆる信仰を持つ人々のために大学キャンパスの中心にオアシスを提供してきました。約2000人の礼拝者を収容できるこの身廊は、石灰石のハイライトが施された砂岩の壁と、24mの高さにそびえ立つ天井が特徴でしたが、その見事な美観のために、典礼礼拝のスピーチの明瞭さが損なわれていました。

音響の問題を解決するため、チャペルのスタッフはメリーランド州を拠点とする音響映像システムの専門会社Washington Professional Systems (WPS)に依頼し、新しい音響システムを導入しました。プロジェクト概要として、全ての信徒がクリアではっきりと聞き取れるスピーチに加え、音響的にバランスの取れたサウンド、礼拝の指揮者、聖歌隊、ミュージシャンのためのブロードキャスト機能、より良いオーディオの明瞭度が要求されました。音響施工を担当したSIA Acoustics社の技術的サポートによって、礼拝堂は最新のビームステアリング機能を備えたRenkus-Heinz社のオーディオシステムにアップグレードしました。

WPSは、このプロジェクトに参加する際、会場の伝統的な建築様式を考慮する必要がありました。建築家と密に連携し、建物の構造を尊重しながら、目立たない音響システムを目指しました。また、礼拝堂の貴重な石材や木工品に配慮し、改修が必要な部分を特定して、必要最小限の施工でプロジェクトを進めました。

WPSのプロジェクトマネージャーであるJohn V Fish氏によると
「このスピーカーシステムは、ハイクオリティなスピーチ音声の明瞭性と音響バランスを提供することをコンセプトに設計されており、同時に会場の雰囲気にも配慮しています。」
「そのシステムを考慮して、主聖堂全体、祭壇両サイド、廊下側の柱、バルコニーの側壁、そしてマーカンド礼拝堂に設置された13の パワードスピーカーにRenkus-Heinz IC Live Gen5シリーズを使用しています。各スピーカーはDSPから独立した音声信号を受信し、特定のディレイをプログラムして1つのユニットとして動作させることで、まるで祭壇から音声が送られているかのような効果を生み出しています。」

WPSがRenkus-Heinzのオーディオソリューションを選択した主な理由の一つは、同ブランドのスピーカーが持つビームステアリング機能でした。その代表製品であるIC Live Gen5シリーズは、オムニビーム(OmniBeam)を搭載しています。オムニビームは、複雑な設定をすることなく、あらゆる会場で最適なサウンドとカバレージを提供するアルゴリズムであり、あらゆる会場の前方から後方まで一貫したサウンドを提供し空間の形状を正確にカバーすることが可能です。

「ビームステアリング機能により、スピーカーからの音の拡散を縦方向にコントロールできます。この機能は、非常に反響が多く反射が強い礼拝堂でも、明瞭な音声を実現するためにシステムを微調整するのに役立ちます。」
SIA AcousticsのSam Berkow氏は続けます。「さらに、IC Live Gen5シリーズは、スピーカーからではなく、司会者や礼拝の指導者自身から音が聞こえてくるような感覚を作り出せるほど、音の垂直方向の拡散を制御することができます。このシステムにより、歴史的建造物でありながら、今日最も要求の厳しい聴衆の期待に応えることができるのです。」

音響システムはAllen and Heath Avantisデジタルコンソールでミキシングされ、Danteベースのネットワークが聖堂、聖歌隊、祭壇全体にオーディオ信号を伝送するために使用されております。このDanteネットワークにより、システムは低コストで低レイテンシーかつ効果的にオーディオ信号を伝送することが可能になりました。すべてのシステム入出力はDante上で利用可能であり、各信号は特定のスピーカーグループなど必要に応じてルーティングすることができます。
John V Fish氏によると「複数の操作モードを提供することで、チャペルのスタッフは複雑なスタートアップ手順を踏むことなくシステムを起動し、使用することができます。」
「さらに、このシステムは様々なイベントで使用するのに十分なヘッドルームを持っており、音質や明瞭度が落ちることはありません。」

プリンストン大学のチャペルは常に運営されている宗教施設であるため、工事期間中も毎日礼拝やイベントが行われていました。このような活動を維持するために、WPSはチャペルのスケジュールと連動するように現場チームのシフトをずらし、支障が出ないようにしました。その結果、モダンで最先端の機能と柔軟で使いやすい操作性を融合させるというコンセプトを達成した高品質なオーディオシステムが完成しました。


導入製品
11 x Renkus-Heinz ICLive-DUAL
2 x Renkus-Heinz ICLive-TRIP


本記事はRenkus-Heinz Case Studiesから転載しています。

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Images by Sam Bertness, Washington Professional Systems