1926年の創業以来、進化を止めることのないTANNOYの製品群。そこで培われたテクノロジーは世界中の固定設備マーケットやSRマーケットから高い評価を受けています。

ここでは数多くあるテクノロジーの中からTANNOY製品が誇る6つのテクノロジーとその仕組みを解説します。

TANNOYをより深く知るきっかけに。製品選びのための事前学習にお役立てください。

Dual Concentric DriverTM Technology

TANNOY社は、初の真のポイント・ソース(点音源)・トランスデューサーである『Dual Concentric DriverTM(デュアル・コンセントリック・ドライバー 以下略 DCドライバー)』を開発したことでも有名です。

DCドライバーは水平方向と垂直方向で均一な音の放射を実現し、軸外でも卓越した性能を発揮します。

1947年に開発されたこの技術は、新しい材料、製造方法、長年の研究結果を活用し、数十年にわたって絶え間ない進化と改良を続けてきました。この技術の最新版は幅広いTANNOY社製品に採用されています。

同軸音源 DCドライバーの利点

同軸音源のDCドライバーと非同軸音源の違い

DCドライバーは通常のドライブユニットとは異なり、2つのドライバーが物理的に1つに統合されています。高域ユニットは、低域ドライバーの奥に配置されているため同じ軸上にあると言えます。

音響エネルギーは全く同じポイント(低域ドライバーの中心)から伝播されます。これによりDCドライバーは水平方向と垂直方向で均一な球状のウェーブフロントを実現し、軸外でも卓越したパフォーマンスを提供します。これが真のポイント・ソースと呼ばれる所以です。

非同軸音源の問題

ディスクリート・ドライバー・スピーカー・システム(非同軸音源)には、各ドライブユニットが独自の音源であるという本質的な設計上の欠陥があります。低域と高域それぞれのドライブユニットが再生する音は揃っておらず、特定の1つのリスニングポイントでのみコヒーレント(位相が揃う状態)になります。

位相を揃えるためにドライバーのタイムアライメントでディレイを使用したとしても、アライメントできるのは1つの軸上の狭いリスニングポイントに限られます。調整可能なホーンを備えたシステムでさえクロスオーバー領域で重大な「サックアウト(急激な減衰)」に悩まされており、DSPでもこの現象を修正することはできません。

DCドライバーが持つ一定の指向性特性はこのようなタイムアラインメントの問題を克服します。

第3世代のDual Concentric Driver TM

TANNOY社のCMS3.0シリーズとAMSシリーズそれぞれのDCモデルには第3世代のDCドライバーが搭載されています。

第3世代のDCドライバーが新たに搭載した2つのテクノロジーをご紹介しましょう。

1. Omnimagnet TM

右が第3世代DCドライバー

OmnimagnetTM(オムニマグネット)は、一つのマグネットで低域、高域を共有し、タイムアライメントとコヒーレント(位相が揃う状態)を向上する技術です。さらに従来のDCドライバーより薄く設計することが可能です。

2. Torus Ogive WaveguideTM

赤く塗った箇所がTorus Ogive WaveguideTM

Torus Ogive WaveguideTM(トーラスオジーヴウェーブガイド)は、ウェーブガイドを浅くすることで、低域性能の向上、広いヘッドルーム、高いクロスオーバー・ポイントを可能にします。これにより低域と高域が結合する際にタイムアライメントとコヒーレントが向上し、望ましい指向性を得ることができます。

そして、新しいフェーズプラグ(赤い部分)は高周波数の音波を乱さないように拡散させる効果があります。

第3世代DCドライバーを採用している製品

AMS5DC , AMS6DC , AMS8DC , CMS403DCe , CMS503DC , CMS503DCLP , CMS603DC , CMS803DC , CMS803DCQ

以上がDual Concentric DriverTM Technologyについての解説です。


TANNOY ICT Driver TM Technology

ICTドライバーは、クロスオーバーを必要とせず、酷使しても燃損しないワイヤレス電磁ツィーターを使用しています。

ジュラルミン・ドーム・ツイーターはウーファーの中心に埋め込まれており、ウーファーのボイスコイル内で発生する磁場に電磁誘導されて発音するためウーファーが故障しない限りツィーターが鳴り続けます。このドライブユニットは、BGMやPAシステムで最も多く発生する2つの部品、(ツィーターとクロスオーバー)の故障に対応しています。さらに同軸上にミッドベース、ツイーターを配置した構成になっておりワイドなカバレッジを保証し、抜群の定位感と心地よいサウンドを提供します。

●TANNOY ICT DriverTM Technologyを採用している製品

CMS ICTモデル , AMS ICTモデル 


Q-Centric

Q-Centric Waveguideはデュアル・コンセントリック・ドライバーのポイント・ソース(点音源)の性能を生かし、さらによりタイトな水平、垂直方向のパターンを得ることができます。

水平75°x垂直40°のパターンはよりフォーカスしたカバーエリアを対象とすることができ、ドライバーを90°回転させることにより水平、垂直方向のパターンを水平40°x垂直75°に変更することができます。このQ-Centric WaveguideはVXシリーズの一部製品(-Qモデル)に搭載されています。

●Q-Centricを採用している製品

VX12Q , VX12.2Q , VX15Q , VX12Q , VXP12.2Q


FAST

Focused Asymmetrical Shaping Technology(FAST)は垂直軸の下方向にカバーエリアを拡張する非対称垂直拡散技術です。

VLSシリーズの音響シミュレーション例(VLS30 : 垂直指向角度 +3°~ -11°)

Focused Asymmetrical Shaping Technology(FAST / 非対称垂直拡散技術)による放射角度

新しいパッシブ・クロスオーバー・ネットワーク設計とQFlexシリーズで採用したトランスデューサー技術を組み合わせることによりこれまで見られなかった音響特性を実現しています。コラム型スピーカーは明瞭度が損なわれる天井などの反射面からは遠ざけ、オーディエンスに向けて垂直方向に傾ける必要があります。

FASTは「パッシブ・フィックスド・ステアリング」を採用することによりスピーカーの設置角度等を特に心配することなく迅速で簡単にスピーカーを設置することができます。 このFASTはVLSシリーズの一部製品に搭載されています。

●FASTを採用している製品

VLS7 , VLS15 , VLS30


Beam Engine

Beam EngineはQFlexシリーズの専用ソフトウェアです。オーディエンス・エリアを正確にカバーするためのビームステアリング・アルゴリズムを生成します。

直感的なBeam Engine GUIは、システム設計者がターゲット・エリアを指定し、そのエリアを最適にカバーするためのステアリング・アルゴリズムを生成することができます。

Beam Engineは、オーディエンス・エリアの断面図と、QFlexの位置とステアリングの角度をグラフィカルに表します。

生成されたステアリング・アルゴリズムを一旦保存し、もう一つのソフトウェアVNET (Podware)とインターフェイス(別売)を介してQFlexのDSPにロードします。

また、厳密で包括的な音響シミュレーションを行う場合は、バルーンDLLをエクスポートして、EASEやCATT Acousticの音響モデリング・ソフトウェア・プログラムで利用することができます。

●Beam Engineを採用している製品

QFlexシリーズ全て

TANNOY製品一覧 https://beetech-inc.com/brand/tannoy/
お問い合わせフォーム https://beetech-inc.com/contact/
お電話 03-3305-5112(10:00~17:00:土・日・祝日は除く)