Lakeソフトウェアの特徴について

目次
Lakeの誕生から現在まで
Lakeソフトウェアの誕生のきっかけは1990年代にライブツアーなどで採用されるようになったラインアレイスピーカーのスピーカー間で生じる位相干渉による問題でした。 90年代初めオーストラリアのアデレードで3人のエンジニアがデジタル・シグナルプロセッシングのアプリケーションの開発行う会社(Lake社)を設立しました。Lake社の名前の由来は創業時にオフィスの近くにあった美しい池にちなんで団体名を「Lake」と名付けました。 当時、サウンドエンジニアをしていたBruce JacksonがLakeのDavid McGrathと出会い、デジタルシグナルプロセッサーの開発に取り組み始めました。その先端技術にこれまでにない可能性を感じとったクレアブラザーズ社がスポンサーとなり出資することになりました。 その後Clair Technologies LLC社がBruce Jackson , David McGrath , Ed Meitner (後のEMM-Labs創業者)とクレア兄弟によって設立されます。 当初はClair社専用のライブサウンドプロセッサーの開発に取り組みます。 2001年には待望のLake Contour Pro 26™が発表となりました。

(上記はLinear Phase CrossoverのページをLake Controller V.7.0.0で表示しています。)




- FIRをサポートする、独立したアレイ・オプチマイゼーション専用フィルターを利用できるようになりました。モジュールがロックされている状でも利用可能です。
- 各出力に、FIRをサポートする、設定可能なクロスオーバー。
- 各出力に、最大3つの独立した周波数帯域をサポートするマルチバンドリミッター。
- クロスオーバーEQとは別に非表示やロックを行うことができる、「Pre-Output EQ」と呼ばれる、すべての出力に共通の独立したフィルター。

Raised Cosine Filterについて
Raised Cosine Filterは隣接するフィルター同士の影響を最小限に抑えることができるフィルターです。 これからRaised Cosine Filterの3つの特徴をご紹介してゆきます。① スロープの急峻さ
まずは比較する画像をご参照ください。 下記の図1を例にあげると内側(青色)のRaised Cosine Filter (Input PEQ) は外側(赤色)の通常のPEQと比べてフィルターの両端の開始位置が狭くなっているので、隣接するフィルターの影響を受けることがありません。
図1 赤色の線が通常の1/3オクターブ・フィルター 青色の線はRaised Cosine Filterの曲線を表示。

図3 アナロググラフィックイコライザーで500 Hzから2 kHzを6 dBブースト

図4 アナロググラフィックイコライザーの周波数応答の測定結果

図5 Ideal Graphic EQで500 Hzから2 kHzを6 dBブースト
② 非対称カーブの有効化
このRaised Cosine Filterを応用して作られたのが、MESA EQになります。 MESAフィルターは左右非対称のカーブを作成することが出来るフィルターであり、パラメトリックEQでは調整しにくい、もしくは複数組み合わせる必要があるフィルターカーブをMESAフィルターなら1つで作成可能となります。
図6 左右非対称のMESAフィルター

図7 上側はMESAフィルター、下側は従来のIIRフィルター
ISO-Float Electronic Balancingについて
Iso-Floatは、オーディオシステムのグラウンドループを回避するための機能です。音を着色するだけでなく、周波数応答も理想的ではないトランスよりも優れたパフォーマンスを提供します。 上記のことから以下の3つのことがISO-Floatの特徴となります。- Iso-FloatはLakeで特許を取得した電子回路でノイズを最小限に軽減します
- 周波数レスポンスが理想的ではないトランスを使用しないことで優れたパフォーマンスを提供
- オーディオコンバーターを電気的に絶縁します


Limiter Max™について
LakeのLimiterMaxは2種類のリミッター機能を持ち合わせており、RMS LimiterとPeak Limiterそれぞれスピーカーシステムに対しての保護機能として働きます。 RMS Limiterはスピーカーのボイスコイルにかかる熱に対する保護、Peak Limiterはスピーカーユニットの振幅に対して過大入力保護が目的のリミッターです。 通常の運用時には長期的なスピーカーボイスコイルへの熱に対する保護が必要となり、RMS Limiterは常にボイスコイルが過負荷にならない様に監視をしています。 また、Peak Limiterは突発的に大きな信号が入力された場合、スピーカーユニットを過度な振幅から保護します。
青色:基準信号 オレンジ色:LimiterMaxあり 赤色:LimiterMaxなし
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