Lakeデバイスはすべての製品がDanteオーディオネットワークと接続することができます。

また、Danteコントローラーを起動することなくLakeコントローラー上でルーティングなどの各種設定を行うことができます。

Lakeデバイスはプライマリポートとセカンダリポートの2つのネットワークポートを持ち、1つのポートでDanteオーディオとLakeコントローラーの情報を取り扱います。

利用する環境に応じて適切なケーブルやスイッチを用意していただくことで、通信障害を回避することができます。

Lakeデバイスで利用できるEthernet Cableタイプ

Lake製品全般で使用に適したケーブルはCat-5eもしくはCat-6ケーブルになります。

Cableタイプ スペクトルバンド幅 伝達可能距離 LANスピード
Cat-5 100 MHz 100 m 100 BASE-TX
CAT-5e 100 MHz 100 m 100 BASE-TX
1000 BASE-T
Cat-6 250 MHz 100 m 1000 BASE-TX

2つのEthernetデバイス間で許可されるケーブルの最大の長さは、イーサネットプロトコルによって定義され、銅線での接続では100メートルに制限されています。 イーサネットデバイスには以下が含まれます。

  • Lake コントローラーを操作するPC
  • Ethernet スイッチングハブ
  • Wirelessアクセスポイント
  • LM, PLM, PLM+, D シリーズのLakeデバイス

より長い距離が必要な場合は光ファイバーを使用できます。マルチモードファイバーは最長550メートルをサポートし、シングルモードファイバーはさらに長い距離をサポートします

Lakeデバイスでのデイジーチェーン接続とスター接続の解説

①デイジーチェーン接続

デイジーチェーン接続は、Lakeデバイスのセカンダリイーサネットコネクタを「ループスルー出力」として使用して、イーサネット信号を次のLakeデバイスに送信できます。

以下はデイジーチェーン接続をする際の接続例です。データは100Mbit/sで転送されます。

図1 デイジーチェーン接続例

デイジーチェーン接続は、一台でも不具合が発生するとその後に接続されているLakeデバイスとの通信ができなくなるリスクが高くなります。Lakeデバイスのデイジーチェーン接続は最大10台が推奨となっていますが、Dante設定が無効になっている場合に限ります。デイジーチェーン接続でDanteを使用したい場合には最大2台までとなっておりますので、Danteを使用する際にはスター接続をご検討ください。

図2 デイジーチェーン接続

② スター接続

スター接続はhub-and-spoke(ハブアンドスポーク)またはradial topology(ラジアルトポロジ)とも呼ばれ、複数のイーサネットスイッチを使用して、より大きなネットワークを構築することも可能です。以下の図のように中央のスイッチをハブにして複数のLakeデバイスとイーサネットスイッチを接続します。

図3 スター接続例

Dual Redundancyモードでの接続の解説

Dante Dual Redundancyモードを使用すると完全に並列のセカンダリネットワークを作成することができます。下記の図のようにプライマリネットワークは、Danteを装備した各デバイスプライマリポート(青色)に接続し、セカンダリネットワークはすべてのセカンダリポート(赤色)に接続します。

図4 Dual Redundancy接続

DanteのDual Redundancy モードは1台のネットワークスイッチが障害を起こした場合でもDanteオーディオが途切れる可能性を限りなく低くします。 ただし、Danteオーディオが自動的にプライマリネットワークからセカンダリネットワークにフェイルオーバーした場合にはLakeコントローラー側のPCはプライマリネットワークとセカンダリネットワークを手動で切り替える必要があり、それに応じてIPアドレスの設定を変更します。 Lakeデバイスのセカンダリネットワークは、172.31.x.xの範囲で構成する必要があります。

デイジーチェーン・スイッチ・トポロジー

デイジーチェーン・スイッチ・トポロジーはLakeデバイスの各グループはスイッチに直接接続され、各スイッチはデイジーチェーンで接続されます(図5を参照)。 スイッチが1000 BASE-T(ギガビットイーサネット)を使用している場合、多くのデータを通信することができ、配線の点においても非常に便利ですが、上流側が途切れてしまうと通信障害が発生するリスクが高くなります。

図5 デイジーチェーン・スイッチ・トポロジー接続

デイジーチェーン・スイッチ・リング・トポロジー

スイッチがRapid Spanning Tree Protocol (RSTP)をサポートしている場合に利用できる上記の拡張型です。ケーブルに障害が発生した場合でもすぐにネットワークが回復し、ネットワーク上のすべてのデバイスは通信を継続することが可能です。

スイッチに障害が発生した場合でも、各デバイスはネットワーク内で接続されたままになります。ただし、故障したスイッチに直接接続されているLakeデバイスは除きます。 Danteを使用している場合、音声が短時間(5msから最大2秒ほど)途切れます。その長さはシステムのサイズとイーサネットスイッチのタイプによって異なります。

デュアル・デイジーチェーン・スイッチ・リング・トポロジー(図6参照)

デイジーチェーントポロジーの配線の容易さと、Dual Redundancyのスター接続によって音声が途切れるという不安を回避します。 この方法では、2つのデイジーチェーン接続されたスイッチが並列に接続されます。 プライマリネットワークおよびセカンダリネットワークは、Lakeデバイスのデュアルリダンダンシーモードを使用してそれぞれ個別に接続されます。

図6 デュアル・デイジーチェーン・スイッチ・リング・トポロジー方式

上記接続でLakeコントローラーのPCにネットワークカードが1つしかない場合、プライマリもしくはセカンダリのどちらか1つにしか接続することができません。

解決策は以下の2つの方法となります。

  1. 1. 青色のプライマリネットワークからマニュアルで赤色のセカンダリネットワークに接続し、Lakeコントローラー側のIPアドレスを変更します。(セカンダリネットワークのIP Addressは172.31.x.x)
  2. 2. Lakeコントローラー側のPCに追加のネットワークカードをインストールし、両方のネットワークに正しいIPサブネットを構成して、両方のネットワークに同時に接続できるようにします。

デイジーチェーン接続とスター接続を組みあわせた接続例

より大規模なシステムネットワークでは、ローカルエリアネットワークを形成するために最初に相互接続されるローカルスイッチのグループを各ゾーンに配置することをお勧めします(例:Stage Left, Right)。 これらのローカルネットワークは、メインバックボーンネットワークに接続されます。 特定のアプリケーションとリソースに応じて、メインバックボーンとローカルエリアネットワークに異なるトポロジーを使用できます。

図7は、スター型とデイジーチェーン型の両方のスイッチトポロジーを組み合わせたネットワークの例を示しています。この例では、RSTPを有効にする必要があります。

図7 デイジーチェーン接続とスター接続を組みあわせた接続例

  リンク・スピード
システムタイプ; 1* 2** 3 4
Tramsmitter 100 (PLM) 100 (PLM) 1000 (LM) 1000 (LM)
Backbone 100 (Fast) 1000 (Gigabit) 1000 (Gigabit) 1000 (Gigabit)
Receiver 100 (PLM) 100 (PLM) 100 (PLM) 1000 (LM)
   接続台数(HOP)
Latency 0.5ms 0 0 0 3
Latency 1.0ms 1 6 8 14
Latency 2.0ms 5 23 27 33
Latency 5.0ms 14 >40 >40 >40

図8 ネットワークのダイアメーターガイド例

1* 外部スイッチなしまたは100 MbpsスイッチありのPLM(非推奨)
2** ギガビットスイッチバックボーンを備えたPLMのみの例(推奨)

図8はPLMシリーズの推奨システム例を示しています。Dante対応のLakeデバイスをソース(100Mbps)、PLMシリーズデバイスをシンクとしたシステムで最初と最後のHOPは100Mbps、それ以外のすべてのHOPはスイッチ間を含めて1000Mbpsの場合、レイテンシを2.0msと仮定すると、ソースデバイスから任意のPLMまで最大23HOPが利用可能です。

用語解説

HOP:あるネットワークポートから別のネットワークポートへのケーブル接続。

ダイアメーター: ネットワークの最大サイズ。 最適なネットワークダイアメーターは、パケットがネットワーク内の最も遠いポイントを横切って1つのデバイスから別のデバイスに到達するのにかかる時間によって定義されます。

レイテンシー: ハードウェアの反応と送信時間。パケットがイーサネットケーブル上を移動するのにかかる時間は、ハードウェアの処理時間と比較して非常に短いです。 すべてのHOPが100 mの銅ケーブルであると想定すると、図8に示すように、特定のレイテンシー設定に対して、DanteソースデバイスからLakeデバイスへ許可されるHOP数のルールを確認できます。

Dante Configurationの設定方法

Dante ConfigurationはLakeコントローラー上のI/O Configuration& Worksheetsで行います。

① I/O Configuration & Worksheetsを表示させるにはコントロールバーの【Module】 (F3)を選択し、設定したいLakeデバイスのモジュールを選択 > 【I/O Configuration & Worksheets】 (F4) を選択すると、画面左側にDante Configurationが表示されます。

図9 Moduleボタンを選択してワークエリアのModuleを選択した状態(黄色に反転)

図10 I/O Configurationページ

② 設定(編集)を行う場合は「虫眼鏡マーク」をクリックします。

図11 I/O Configuration内 Dante Configurationエリア

③ Dante Configuration Deviceタブ

初期設定ではDisabled「無効」となっているので、クリックしてEnabled「有効」とします。「有効」にした後、サンプルレートや名前、デバイスレイテンシーの設定を行うことができます。

図12 Dante Configuration Deviceタブ画面

図13 Dante Configuration Deviceタブ画面(上図LM26/44, 下図PLM+/D Series)

Options

このデバイスをDanteネットワークのクロックマスターデバイスとして使用する場合には、このボタン(Preferred Clock Master)をタップします。AES67対応デバイスは、AES67クロックマスターとしても機能します。(図13下図)AES67 Clock MasterはDanteコントローラーで見ることができます。デバイスをDanteまたはAES67のいずれかでクロックマスターにする場合、Dante Slave Onlyにすることはできません。【I/O Configuration】(F4) >【Technical Data】(F5)(Dante Slave Only)

Sample Rate

Danteは48kHzまたは96kHzのどちらかのサンプルレートを選択します。

図14 サンプルレートを変更する場合、オーディオが一旦途切れるというメッセージが表示されます

AES67をサポートする製品の場合、AES67モードが有効になっていると、デバイスは48kHzでのみ動作します。

Dante Device Name

「Copy Frame Label」ボタンは、フレームラベルをこのデバイスのDanteデバイス名としてコピーします。 このボタンをタップした後に表示されるキーボードの[OK]をクリックして変更を確定します。 また、隣のキーボードアイコンを選択して、手動でDanteデバイス名を入力するためのキーボードを表示させることもできます。

Dante Device Latency

ここで設定するレイテンシーは、Dante がデジタルオーディオの障害を未然に防ぐために使用するDante固有のレイテンシーです。選択した信号パスとモジュールタイプの通常のレイテンシーに追加されます。

デバイスに応じて、次のレイテンシーが利用可能です。

●LM、PLM +およびDシリーズ(ギガビットイーサネット):
0.25ms / 0.50ms / 1.00ms / 2.00ms / 5.00ms

●PLMシリーズ(100 Mビットイーサネット):
1.00ms / 2.00ms / 5.00ms

このパラメーターは、LakeコントローラーとDanteコントローラーの間で同期されます。

これらの最小受信遅延オプションは、ネットワークの複雑さと構造に応じて柔軟性を持たせるために提供されています。

レイテンシーを大きくすると、ネットワーク経由でオーディオパケットが遅延することによるオーディオの障害のリスクが軽減されるため、ホップ数が多い複雑なネットワークや、わずかな遅延は無視することができ、信頼性が最優先される状況で推奨されます。

④ Dante Configuration Receiveタブ

DeviceはDante接続されている機器を表示しており、Channelは各Deviceで使用できるインプットチャンネルを表示しています。 Channelに表示されているアイコンをDante receiverへドラックアンドドロップしてLakeデバイスの入出力チャンネルにアサインします。

図15 Dante Configuration Receive画面

図16 Dante Configuration Receive画面 Dante receiveに各チャンネルをアサインした例

⑤ Dante Configuration Transmitterタブ

DanteのTransmit(Output)はReceiveと同様に初期設定はDisableとなっています。また、TransmitはMultiもしくはUniの選択ができます。

Uni   :送信先の機器が1台

Multi:送信先の機器が2台以上の場合

図17 Dante Configuration Transmitタブ画面

⑥ I/O ConfigurationページのクロックとDante Controllerから見たLakeデバイス

LakeデバイスがDanteのMaster Clockとなる場合にはPrimary ClockはInternalとなります。(Primary ClockがAutoに設定されている場合にもMasterとなる場合があります。)また、他の機器がMasterとなったシステムではLakeデバイスは「Slave to Dante」となります。

図18 Dante ClockがMasterとなった場合のPrimary Clockの状態(Internal)

図19 Dante ClockがSlaveとなった場合のPrimary Clockの状態(Slave to Dante)

⑦ LakeデバイスをDante ClockのMasterにしたくない場合にはI/O Configuration内Technical Data【F5】の「Dante Slave Only」を「ON」にしてください。(デフォルトはOFFです。)

図20 I/O Configurationが選択されている状態のボタンバー

図21 LM26のTechnical Data画面


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