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2020/10/02

Lab Gruppen Class TDテクノロジ―他 解説

Keigo Tomita
メディア

LAB.GRUPPEN社のCシリーズは、業務用オーディオアンプのパワー密度について新しい基準を提唱します。 フラッグシップモデルのC 68:4は、重量が約12 kgの2Uキャビネットで最大6800 Wの総出力(4 x 1700 W @ 4オーム)を出力します。
驚くほどコンパクトな筐体から生み出される驚異的なパワーにもかかわらず、Cシリーズのアンプは通常の使用条件下ではオーバーヒートしません。アンプを冷却することにより、最先端の音響性能と信頼性の高いサービスを長期間にわたり提供します。
驚異的なパフォーマンス、高い信頼性とパワー密度、これらの組み合わせを実現するために、LAB.GRUPPENのエンジニアは、Cシリーズの開発において世界で最も先進的なアンプ技術(多くは特許取得済みまたは独自仕様)を採用しました。

Class TD Design

テクノロジー

何十年もの間、Class AB出力段はパワー・アンプにおける高音質の基準を確立してきました。 Class ABアンプは優れたサウンドですが、電力を効率的に使用しているわけではありません。
出力段によって大量の熱が放散されるため、出力トランジスタを安全な温度に保つために、大きなヒートシンクや、かさばるファンが必要となります。 最終的に熱として散逸される電力を生成するには、より大きな電源が必要です。
他の2つのよく知られたアプローチはパワー・アンプの効率を向上させますが、それぞれに欠点があります。
Class Dスイッチング・アンプは、パルス幅変調(PWM)技術を使用して非常に高い効率を達成しますが、「純粋な」Class Dのほとんどの実装では、音質面での妥協を伴います。

Class Hのデザインでは、出力デバイスの最適な動作に必要な瞬時電圧を提供するために、入力を「トラッキング」し、電源電圧を変調することで効率を高めています。
しかし、クラスHで最大の効率が得られるのは、比較的限られたダイナミックレンジの範囲内に限られています。



Class DとClass Hの両方のアンプの基本的な概念は、数十年前から文献に記載されており特許の対象外です。
しかし、これらのコンセプトを実装した特定の回路は、LAB GRUPPENの画期的なクラスTDアンプのトポロジーとして、特許を取得しました。
TDは「Tracking Class D」の略で、電源がすべての周波数でオーディオ信号をトラッキングし、必要なレール電圧を供給すると同時に追加のヘッドルームを確保することを意味します。

Class Dの高速スイッチング原理も採用されていますが、最終出力は音質面で優れたClass ABコンポーネントのままです。
信号は、オーディオパス全体でデジタルパルスに変換されず、アナログのままです。
Class Dデザインと同様にフィルター処理が行われますが、オーディオパスは回路のスイッチング部分の外にあるため、PWM出力段に典型的なリップル効果を生じることなく、非常に高い効率が得られます。

効果

LAB.GRUPPENのClass TDは、全ての負荷条件において完璧に動作します。 2Ωの公称インピーダンスの負荷に対してもフラットな周波数応答を維持します。
出力はブリッジ可能で、信頼性が非常に高く、近くの無線機器などへの干渉もありません。
優れた効率性により、冷却要件を最小限に抑えながら、より高いパワー密度を実現し、Class AB設計に匹敵する音質を実現しています。

Regulated Switch Mode Power Supply(R.SMPS)

テクノロジー

各Cシリーズに搭載されている電源ユニット(PSU)は、驚くほどコンパクトで非常に効率的な先進的デザインです。
トランスは、強化されたフェライトコアを使用して、はるかに大きな鉄心のトランスと同等の磁場容量を生成します。
独創的なシンプルなレイアウトは非常に効率的で、発熱が少なく、電源からのアンプ全体の電流引き込みが減少します。

さまざまな電源設計の特性

1) Cシリーズで使用されているLAB.GRUPPEN R.SMPSTMは、主電源電圧が90V(@ 115V公称)または180V(@ 230V公称)まで低下した場合でも、安定したレール電圧を提供します。
2) 一般的な電源(通常はトロイダルトランス)のレール電圧は、主電源電圧低下に比例して(またはそれ以上に)低下します。
3) 一般的なSMPS(Switch Mode Power Supply)設計のレール電圧は半導体損失が原因で電圧が大幅に低下します。 電流制限や低電圧状態の時は、レール電圧を下げるのではなく電源をシャットダウンします。

R.SMPSのデザインは外部の様々な条件によって主電源の電圧が低下した場合でも、レール電圧を最適レベルに保つように調整されます。 主電源電圧は、ピークレール電圧に影響が出る前に、公称値を20%も下回ることがあります。

効果

R.SMPSは、電圧が大幅に低下したときや変動が激しい場合でも完全なレール電圧を出力段に供給可能なため、安定したトランジェントレスポンスとタイトで歪みのない低域を再生することができます。 小型でありながらも高効率な電源よって Cシリーズの並外れたパワー密度を実現しています。

Intercooler® Cooling System

テクノロジー

Cシリーズのアンプトポロジーは電源から出力まで全体的に非常に効率的に設計されています。それでも、コンパクトなシャーシに通す電力量に注意が必要になります。 出力1ワット毎に発生する熱量は従来よりもはるかに少ない設計です。

LAB GRUPPENのIntercooler®冷却システムには2つの特徴があります。
1つ目は出力デバイスを大きなアルミニウムのフィンに取り付けるのではなく、Intercoolerは何千もの非常に小さなルーバー付きのフィンを備えた銅製ヒートシンクを利用します。 銅はアルミニウムよりもはるかに効果的に熱を放散し、何千もの小さなフィンが冷却空気流にさらされる総面積を大幅に増やします。
2つ目は他の多くのアンプは、「冷却トンネル」内のヒートシンクに出力デバイスをマウントし、最も冷たい空気が最初の出力デバイスにのみ当たるようにします。 その結果、後ろのデバイスは、最初の出力デバイスよりはるかに暖かい空気にさらされています。 この不均一な冷却により、「冷却トンネル」内の最後のデバイスが早期の故障の影響を受けやすくなります。 ただしCシリーズでは、すべての出力デバイスが気流に対して垂直な列に取り付けられています。
デュアル可変速ファンが冷気を圧力チャンバー(総面積に拡がる箇所)に送り込み、そこから各デバイスの冷却フィンを通過させます。 つまり「予熱された」空気を受け取って冷却することはありません。

効果

より効率的な冷却により故障の原因となりうることを取り除くことにより、長期的な信頼性が向上します。 冷却空気の流れに出力デバイスを並列に取り付けることで、製品の早期の故障を防ぐことができます。


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