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2020/06/05

【Lake Technology】Ideal Graphic Equalization

Keigo Tomita
メディア

Dolby® Lake® Processorは、グラフィックイコライゼーションのための新しい方法を導入しています。 Dolby Lake Processorは、従来のフィルターを利用する代わりにRaised Cosine Filters(レイズドコサインフィルター)を使用し高い精度でフィルターコントロールを行えます。Dolby Lake ControllerはWindows PCのタッチスクリーンに対応しており、Ideal Graphic EQの操作を直観的に行えます。

イントロダクション

グラフィックイコライザーは、スピーカーシステムの周波数レスポンスを好みに合わせて調整するため、プロの現場で多く使用されています。 ライブサウンド・システムでは、ミキサーとスピーカーの間にグラフィックイコライザーを挿入していないシステムを見つけるのが困難であるようにどのシステムにも必ずといっていいほど組み込まれています。グラフィックイコライザーの問題の1つとして、イコライザーコントロールがオーディオ信号への影響を正確に反映していないことです。 理想的には正確に反映される必要があります。Dolby Lake Processorは理想的なグラフィックイコライザーを提供します。次の項目では現在利用可能なグラフィックイコライザーの状態をレビューし、これらのイコライザーをDolby Lake ProcessorのIdeal Graphic EQと比較します。

グラフィックイコライザー

グラフィックイコライザーはさまざまなメーカーから提供されており、利用環境と予算に合わせてアナログおよびデジタルのグラフィックイコライザーを簡単に見つけることができます。 アナログまたはデジタルのどちらの場合でもイコライザーは同様の機能を持ちます。この説明では、1/3オクターブのグラフィックイコライザーにて解説します。これらはプロの現場で最も一般的に使用されているためです。グラフィックイコライザーはイコライザーコントロールをスライドさせて目的の周波数応答を提供する形状を作成できるという概念に基づいています。グラフィックイコライザーのフロントパネルまたはソフトウェアインターフェイスコントロールの視覚的表現はオーディオ信号と一致している必要がありますが、残念ながら一部の製品では異なる結果となっています。

グラフィックイコライザーの測定

SIAソフトウェア SmaartLiveの測定および分析システムを使用して、一般に入手可能なアナログ及びデジタルグラフィックイコライザーを測定しました。 これらのプロセッサーのハイレゾリューション周波数応答を提供するために、FFTベースの手法を使用したトランスファーファンクションを使用しました。簡潔にするために、いくつかの異なるイコライザー設定の測定を実行しました。

最初の測定では、アナロググラフィックイコライザーで周波数の範囲を6 dBブーストしました。 図1はフロントパネルのコントロールを示し、図2は結果として得られるオーディオ信号の測定された周波数応答を示します。


図1 アナロググラフィックイコライザーで500 Hzから2 kHzを6 dBブースト


図2 アナロググラフィックイコライザーの周波数応答の測定結果

図2のオーディオ信号の結果を見る限り、フロントパネルのコントロールとは異なる結果になりました。周波数応答はフラットではなく、6dBブーストを反映していません。また、コントロールが示すような1/3オクターブの帯域幅も提供していません。

2番目の測定では、「1つの帯域を6 dBブーストし、次の帯域を6 dBカット」をいくつかのバンドに対して行いました。 図3はフロントパネルのコントロールを示し、図4は結果として得られるオーディオ信号の測定された周波数応答を示します。

図3 アナロググラフィックイコライザーで6 dBのブーストとカット

図4 アナロググラフィックイコライザーの周波数応答の測定結果

図4のオーディオ信号の結果を見る限り、フロントパネルのコントロールとは異なる結果になりました。周波数応答はフラットではなく、6dBブーストを反映していません。
一般的なグラフィックイコライザーでは各フィルターが周囲のフィルターと相互作用するため、適切な結果になりません。異なるフィルターを使用してこれらの問題を解消しようとしても同様の問題が生じます。

最後の測定では、デジタルグラフィックイコライザーでいくつかの周波数を6 dBブーストしました。 図5はソフトウェアインターフェイスコントロールを示し、図6は結果として得られるオーディオ信号の測定された周波数応答を示します。

図5 デジタルグラフィックイコライザーで500 Hzから2 kHzを6 dBブースト

図6 デジタルグラフィックイコライザーの周波数応答の測定結果

繰り返しになりますが、イコライザーの応答はコントロール(フェーダーの位置)を見たときに期待するものとは異なります。 周波数応答は最初の測定とは異なる動作を示しますが、コントロールと比較してまだ正確ではありません。

Dolby Lake ProcessorのIdeal Graphic EQ

Dolby Lake Processorでは、新しい方法でのグラフィックイコライゼーションを導入しています。 理想的なグラフィックEQ(Ideal Graphic EQ)は、オーディオ信号の結果とコントローラーの位置とが完全に一致するユーザーインターフェイスを提供します。 Ideal Graphic EQは完全にフラットな周波数応答を提供します。 隣接するフィルターは既存のグラフィックイコライザーのように相互作用しないため、より正確な制御が可能です。

ドルビーレイクプロセッサーは、レイズドコサインフィルター(Raised Cosine Filter)を使用してイコライザー処理をします。 レイズドコサインフィルターは、従来の方法で実現できるよりも優れた処理をします。 図7は、1/3オクターブのレイズドコサインフィルター(青)と1/3オクターブの従来のフィルター(赤)の比較を示しています。

図7 1/3オクターブの従来のパラメトリックと1/3オクターブのレイズドコサイン(Raised Cosine Filter)

図7から容易にわかるように、レイズドコサインフィルターは、従来のフィルターのように他の1/3オクターブバンドに漏れることはありません。 レイズドコサインフィルターは、これまで利用できなかった精度を提供します。

Ideal Graphic EQでの測定

前のセクションで実行した測定をDolby Lake Processor Ideal Graphic EQで行いました。
図8は同じ周波数範囲を6 dBブーストしたIdeal Graphic EQのコントロールを示しています。
図9は結果として得られるオーディオ信号の測定された周波数応答を示します。

図8 Dolby Lake ProcessorのIdeal Graphic EQで500 Hzから2 kHzを6 dBブースト

図9 Ideal Graphic EQの周波数応答の測定結果

Ideal Graphic EQのコントロールと周波数応答が同じであることは簡単に分かります。 Ideal Graphic EQは、目的の周波数範囲を完全にフラットに6 dBブーストします。 また、Ideal Graphic EQは他の周波数帯域に漏れることはありません。

図10は隣接する帯域を6 dBブーストおよびカットするためのIdeal Graphic EQのコントロールを表示しています。 図11はオーディオ信号の測定された周波数応答を表示しています。

図10 Ideal Graphic EQの6 dBブーストとカット

図11 Ideal Graphic EQの周波数応答測定

この場合も、Ideal Graphic EQのコントロールは、測定された周波数応答と正確に一致します。

まとめ

これらの検証から従来のアナログおよびデジタルグラフィックイコライザーには、相互作用の問題があることがわかります。相互作用効果により、イコライザーのコントロールと一致しないオーディオ応答(周波数応答)が生じます。 Raised Cosine Filtersは従来のフィルターのように相互作用しないため、Dolby Lake ProcessorのIdeal Graphic EQは、オーディオ応答(周波数応答)に正確に一致するコントロールを提供します。 サウンドエンジニアは、Ideal Graphic EQを使用して、スピーカーシステムの周波数応答を直感的に調整できるようになりました。

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Dolby, Lake,とdouble-D symbol、Ideal Graphic EQはDolby Laboartoriesで商標登録されています。
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